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書籍タイトル:大河の流れのように

大河の流れのように
  • 一般定価

    3,300円(税込)

  • 発行

    日本青年団協議会

  • 目次

    • 第一章 切り拓いた友好交流の道と国交回復運動(一九五四~七一)
    • 第二章 国交回復と交流の拡大(一九七二~一九七七)
    • 第三章 日中平和友好条約の締結と大衆交流(一九七八~)

はじめに

悠久の歴史の中で

日本青年団協議会 会長 青木幹雄

日本青年団協議会と中華全国青年連合会との友好交流関係は、今年で三十四年目を迎えました。この間の交流の歴史は、今、改めて私たち青年に新たな感動と、未来を切り開く勇気を与えようとしています。

一九八八年三月に両組織で取り交わした、「日本青年団協議会と中華全国青年連合合間における友好協力事業に関する覚え書」に基き、このたび日青協では日中青年交流の歩みをまとめた本書『大河の流れのように』を発行いたしました。両国青年の交流が三十年を経過した節目の時期に、このような交流の歴史をまとめることができ、さらに中華全国青年連合金の劉延束主席に、お祝いのメッセージをいただいて発行できますことを、たいへん嬉しく思います。両組織のこれまでの交流の中で、繰り返し確認され、語られてきたことは、「水を飲むときは井戸を掘った人々の苦労を忘れてはならない」ということでした。今日、両組織の交流が多種多様に発展してきた中で、この言葉の持つ意味と、その重みを知ることは、歴史の教訓に学び、今後の交流をされに発展させる上で、たいへん重要なことです。そして井戸を掘った人びとの努力に学び、意志を受け継いでいくことこそ、私たち青年の果たすべき役わりであると確信しています。

本書をまとめるにあたり、私は改めて日中両国の悠久の歴史に思いを馳せました。二千年にわたる中国と日本の関係は、なんと貴重な文化の遺産を生み出したことでしょう。しかし、両国の間には“戦争”という不幸な時期もありました。1931年、満州事変に始まる日中戦争は、日本が引き起こした侵略戦争であり、その後日本は第二次世界大戦へと突入していきます。この戦争で中国は語りつくせない犠牲をはらい、日本もまた多くのものを失いました。

戦争が終り、荒廃と虚脱状態の中から、日本の青年たちは国の再建に向けて歩みけじめ、一九五一年には全国の青年団の連絡協議会としての日青協が結成されました。

そして一九五六年、日青協から初めての公式代表団が中国を訪問します。日本の侵略戦争によって多大な犠牲をはらった中国に対し、日青協は心からのお詫びの気持ちを込めて、戦後の中国の地を訪問しました。その代表団を迎えた中国の青年たちは、「二千年にわたる両国の歴史の中で、不幸な時期はわずかだ。それも一部の軍国主義者によるもので、人民に罪はない。両国青年のこれからの友好を共に築こう」とこたえます。これに対し日青協代表団は、青年は二度と銃を取らないと「日中両国青年の不戦の誓い」を主張したのです。この“不戦の誓い”こそまさに、井戸を掘った人びとが汲み上げた清冽な水でありました。こうして、平和への決意ともいえる。″日中両国青年の不戦の誓い″から、両組織の本格的な交流が始まるのです。

しかし、今日のような質・量ともに幅広い交流になるまでの道筋は、決して平坦なものではありませんでした。日本での一部の暴徒によって引き起こされた事件が、交流の中断という事態にまで発展したこともありました。それぞれの国情を反映して交流がとだえたこともありました。こうした問題について両組織は、思想・信条の違いを乗り越え、地道な努力を積み重ねることによって、友好交流を復活させてきたのです。

両組織がこのようなさまざまな困難を乗り越えていく中、一九七二年に歴史的な日中共同声明が調印され、ようやく日中両国の国交正常化が実現しました。その後は両組織の交流もしだいに拡大されていくのです。友好青年の船が初めて中国に向けて海を渡り、友好の翼も青年たちを乗せて飛び立ちました。文化交流も行われ、各県単位の交流も盛んになってきました。中国からは農業やさまざまな技術を学ぶ研修生か日本を訪れました。

そして、二十一世紀に向けた日中青年の大交流が行われました。「84日中青年友好交流」では、日本の青年三千名が中国を訪問し、翌年の「中国青年訪日友好の船」は、中国青年五百名を乗せて日本を訪問し、両国青年の友好交流は大きな花を咲かせました。このように日中青年交流は、無数の友情の輪を作り、さまざまな協力関係を作り出しました。国と国の交流、世界の平和に大きく貢献してまいりました。そして日青協にとっても国際交流の基礎を発展させ、青年団運動の重要な柱として大きな位置をしめてきました。

三十数年にわたるこのような交流の成果を生み出してきたものはいったい何だったのでしょうか。それはまさに、最初に井戸を掘った人々の平和と友好を求める強い決意と正義感であり、国情と体制の違いを乗り越えて青年こそがその扉を切り開くのだという情熱だったのです。そして、その意志を受け継ぎ「日中両国青年の不戦の誓い」を今日まで生かしてきた両国青年の努力でありました。さらに、この歴史の中には、華やかな表舞台で活躍した人びとの他に、それを支えた数えきれないほどの影の立役者たちがいたのです。その並々ならぬ苦労と努力を思い起こすとき、私たちは深い感慨の念を抱かずにはいられません。日中青年交流は、そうした大勢の人びととの汗と涙の結晶でもあるのです。それを今後どう発展させるかは、まさにこれからの私たちに問われています。

これからの交流の中で、私たちは友好交流を発展させるあらゆる可能性を共に探っていくことが求められています。両国青年が共に力を合わせて、世界平和に大きく貢献する友好関係を築いていこうではありませんか。それこそ、井戸を掘った人びとの意志を受け継ぎ発展させることに他なりません。そして、この『大河の流れのように』が、必ずそのための一助となりますことを、心から期待するものです。

なお本書は、全て日本青年団協議会の責任で発行いたしますことを申し添えます。

また、執筆・編集に際して、日青協の諸先輩方の並々ならぬご支援、ご協力をいただきましたことを、厚くお礼申し上げます。

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