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日本青年団協議会
たしか、昭和47年のことだったと思う。日青協の活研(全国活動家研究集会)に招かれて、私は静岡県御殿場にある国立中央青年の家にでむいた。私はその記念講演で、本文にも述べる“足でかせごう”“生活集団をつくろう”ということを中心に、青年団活動の現状脱皮を願っていくつかの話をした。
話おわって質疑にはいった。時間の関係で質問の数は多くはなかったが、それでもそれらの質問には共通して、役員や活動家の人たちの悲愴感がにじみでていた。-なにをやってもうまくいかない。会員はへるばかりだ。要するに、青年団はつづくんだろうか。それともなくなるんだろうか。いまでは、会員をふやそうなんて、そんな大それた気持ちはもっていない。せめてこれ以上、会員をへらさずにすむ方法があったら教えてほしい。
時間に追われながらも、私は応答のさいごに次のようにいいきったのを、いまでもはっきりと覚えている。-青年団活動に即効薬はない。しかし、ほんとうにやる気持ちがあれば、活動をふたたび盛りたて、会員を増やす方法はある。私に三年間の年月を貸してほしい。そうすれば、そこに青年がいるかぎり、どんなところでも青年団をつくってみせる。また、そこに青年団があるかぎり、どんなところでも会員をふやしてみせる。
そういいきってから、私は、私の発言にたいする責任と、同時にその責任をはたそうという意欲とを、ひとおし強く感じた。もちろん私は、なんの自信も展望もなしに、いいかげんなことをいったのではない。その背景には、折にふれて訪れたあちこちの青年団の、苦悩しながらももうそれ以上あとに引きようのない底力から、私なりの学びとってきた自身があった。同時にまた、私の居住地でひさしくつきあっていた名サ連(名古屋サークル連絡協議会)の、困難にぶつかりながらも前途を切りひらいていくあれこれの経験から、私なりに学びとってきた展望があった。
たまたま昭和49年、日青協に組織対策委員会が設置され、私にも声がかかったので、私は前述の責任と意欲からよろこんで参加した。それいらい今日まで、私の見解は、組織対策委員会の中間報告『青年団の強化をめざして』<その1><その2>、および『日本青年団新聞』に10回にわたって掲載された「青年団復権シリーズ」に述べられている。
この冊子は、それらの見解を土台にしながら、新しく編集執筆されたものである。それは、いわゆる「・・・の仕方」というハウ・ツー式のテクニック(技術)を述べていない。むしろ、そうしたテクニック(技術)のもとになる考え方(理念)を論じている。さきに述べたように、今日の青年団活動にハウ・ツー式の即効薬はないが、しかし、きちんとした考えかた(理念)にもとづいて、幾多の試練を経た青年団活動は、かならずやその前途に新たな自信と展望をみいだすだろう。
その意味から、青年団に参加している人たち、とくに役員や活動家の人たちは、この冊子をぜひ読んでほしい。また、青年団に参加していない人たち、あるいは青年団以外の青年集団活動をしている人たちも、この冊子に目を通してほしい。この冊子が、青年団活動や、青年集団活動あるいは青年の生きかたに、少しでも役立てば幸いである。あわせて、この冊子にたいする率直な批評を期待したい。
昭和51年10月20日
日本青年館にて 著者記す
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