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熊本地震

熊本県熊本市 28歳 女性(匿名希望)

 私は熊本地震が起きた時、父と母と3人で自宅にいました。突然の床から突き上げるような不気味な音と共に、激しい揺れに遭いました。 揺れはもちろん恐怖でしかありませんでしたが、一番怖かったのは家の中の家具や食器が、揺れのため次々と倒れる音でした。直後、ガスと水が止まりました。あらゆるライフラインが寸断されるなか、電気を使えた事が、唯一の救いでした。 同僚の自宅も私の職場も、同様にガスや水が止まりました。トイレを流す水、手を洗う水がない環境で同僚と助け合い支え合いながら、水道が復旧するまでを乗り越えました。

 被災して、辛く、思い出したくないことも沢山ありましたが、嬉しくなることもありました。私の職場は、宿泊や会議室の提供を行っています。地震当初は水やガスが止まっていたので、とてもお客様をお迎えできる状態とは言えませんでした。 しかし、地震の直後にお越しになった方は、宿泊できる部屋さえあればお風呂や食事が無くても大丈夫と言われる方がほとんどでした。 いつまた大地震が起こるかわからず、ライフラインも十分ではない中でも、熊本県外から来られたボランティアの方や復旧作業員の方々で満室でした。皆様、真夏の暑い中、毎日早朝から夜遅くまで作業されていました。 中には、体調を崩されて、部屋に戻られる方も少なくありませんでした。数分おきにくる余震のなか、怯えながらも、復旧まで、乗り越えられたのは、このようなお客様から励ましのお言葉をいただいたからです。 私よりも厳しく辛い状況の方もいらっしゃるのに、前向きな言葉をたくさん掛けて下さって、私は心がとてもあたたかくなり、快くお客様をお迎えしようという気持ちが湧いてきました。

 熊本地震を経験したことで、毎日当たり前のように朝を迎え、お客様や職場の皆様に会いお話すること、家に帰れば家族が居るといった当たり前のことが、とても幸せに感じるようになりました。 これからは、当館を支えてくださったお客様に恩返しができるよう、日々精進して行こうと思います。

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